コンプレッション UV テック インナー

製品設計部からお届けする、製品の開発ストーリー。
今回はコンプレッションUVテックインナーについてお話ししようと思います。
インナーは体に一番触れる部分が多い衣料となるため、シンプルな構造ながらもとても奥が深いアイテムです。
また、凹凸のある体に平面の布がどれだけ無駄なく密着することができるかが肝となってきます。
コンプレッションUVテックインナーを作成するにあたり、まずは特化すべき機能性を考えて行きます。
運動するシーンやシチュエーションをいくつか考えていく中で、今回は腕の上下運動と可動域を最大限にすることと、筋肉のサポートを意識してデザインすることとなりました。
今回のコンセプトは主張しすぎない中に落とし込む高い機能性を意識しているので、切り替えはシンプルに必要なラインのみで仕上げます。

袖は大きく分けて、ラグランスリーブとシャツスリーブ という2種類があります。
今回は腕の可動域の広いラグランスリーブを採用しました。厳密には、シャツスリーブでも袖が動かしやすい形状もありますが、後日お話ししたいと思います。
ラグランスリーブは、袖ぐりを首から脇下にかけて曲線でつなぐ袖を言います。
腕の運動性が高い反面、袖をあげたことを想定する為下ろした状態だと脇下にシワが溜まりやすいというデメリットもあります。
今回は新しい形状のマチを取り付ける事で、もたつかずにフィットするようにしていきます。

マチというと、レモン型や台形が一般的ですが、今回は脇から袖に一体となって連結した構造の新しいマチになっています。
細いラグランスリーブのラインとマチが一体となっているため運動性で必要なゆとり分としてのシワは出ますが、もたつかず腕にピッタリとしたスマートなシルエットになります。

袖ぐりのラインを少し袖側に広げることで、胸幅を強調し逞しく力強いシルエットとなるように調整しています。
袖底から袖口に続く切り替え線は少し後ろに振る事で、袖を動かす際に引っかからないように配慮しています。

続いて脇の仕様についてです。
脇は腰周りのブレを防ぐため伸びないメッシュを裏面に配置しています。
表側からはわからず、切り替えデザインのラインのようにさりげない配置をしています。
脇線を真脇に持ってこない事で立体的なダーツをとる事が可能となり、立体的なパターンが体にフィットするようになっています。
脇のメッシュの形状は何度も調整を行った箇所でもあります。
伸びないメッシュを広く使用すると圧迫感が強くなりすぎたり、小さいと思うような位置を覆えなかったりと数センチでも着用感に大きく差が出てきます。

滑らかなスムース素材を使用しているため生地が滑ってしまい、身体を動かした際に裾がズレ上がってしまうことが懸念されました。
そこで裾裏面に滑り止めのゴムを配置し、腰でピッタリと留まるようにしました。
裾のステッチは2本針ミシンで、圧迫感のないスマートなデザインを採用しました。

縫製は全てフラットシーマミシンと3本針ミシンで仕上げています。
肌に当たる部分が少なくなると同時に、生地のストレッチ性に追従するしなやかな縫製となります。
縫製糸には光沢糸を使用しています。
複雑な振りミシンで光沢糸を使用すると糸調子を合わせるのがとても難しく、
縫製の職人技がなくてはこのような綺麗なラインには仕上がらなかったでしょう。