コンプレッション UV テック レギンス

製品設計部からお届けする、製品の開発ストーリー。
今回はコンプレッションUVテックレギンスについてお話ししようと思います。
インナーは体に一番触れる部分が多い衣料となるため、シンプルな構造ながらもとても奥が深いアイテムです。
コンプレッションUVテックインナーのトピックスでもお伝えしましたが、トップスと同様パンツについても凹凸のある体に平面の布がどれだけ無駄なく密着することができるかが肝となってきます。
コンプレッションUVテックレギンスを作成するにあたり、まずは特化すべき機能性を考えていきます。
ウェアは上下セットで着用してもらうため、同時にシチュエーションを考えていきます。
今回はそのまま履ける快適性と、筋肉のサポートを意識してデザインしました。
今回のインナーのコンセプトは主張しすぎない中に落とし込む高い機能性を意識しているので、切り替えはシンプルに必要なラインのみで仕上げていきます。

メンズのレギンスというと、ハーフパンツの下に履くことが多いでしょうか。
メンズのレギンスについてはまだインナー単体で履くというのは抵抗があるかもしれません。
理由としては、一般的なメンズのレギンスの特徴である前中心部分に切り替えがあります。
立体的な前股ぐりにピッタリとフィットするためにはパネル切り替えが有効です。
しかしながらレギンス単体で履くとなると前股ぐり部分の主張が強く、目立ってしまうためレギンスの上にパンツを履くことが多いようです。
パネル無しの前中心ハギがあるレギンスはどうかというとシンプルなシルエットにはなりますが、股間部分が安定せずの不快感が発生することがあります。
そこで今回は、今までにない新たな形状を考えてみることにしました。

前中心ハギで着用した際のスタイリッシュなイメージを作ります。
前中心ハギだけでは立体形状が確保できないため、股ぐり部分でダーツを2本取ることにしました。ダーツは立体部頂点まで伸ばすことで形状を確保しながらも、着用した際には見えにくい位置をキープしました。

レギンスはパンツレスでも着用できるように設計しました。
パンツラインが目立ったり、ゴロついたりするのを軽減したいと考えたからです。
パンツレスで着用できるよう、前中心裏面に黒色のメッシュを取り付けました。
柔らかい高ストレッチメッシュは、肌あたりやスレが起きにくい素材を採用しました。
また、高密度に編み立てられた表地と裏地のメッシュにより透けないようになっています。

脇部分の斜めに入った切り替えラインにも理由があります。
真脇にラインを設定すると、体の立体的な形状についていくことができず、肌と生地に隙間が発生してしまったり、屈伸運動の際に縫い目が肌に食む原因となります。
そこで前腰から後腿にかけて身体に巻き付くようなラインをとることで、切り替え線を利用した立体パターンを組むことができます。
デザイン時には平面的に考えるのではなく、立体的に多方面からラインを検討することで前後左右で繋がりが美しいシルエットになります。

ここでポイントなのが、内股のラインは内股中心を真っ直ぐ通っているということです。
理由は、着用時のガイドとするためです。
内股が真っ直ぐと足に通ることで着用の際にねじれてしまい誤った位置で着用してしまうことを防ぎます。

腰部分にはメッシュを配置しています。
筋肉をサポートし、安定したパフォーマンスを発揮できるようにしました。
こちらは裏面にフラシと言って縫い付けず挟み込む手法を取ることで、着用する人それぞれ異なる体の凹凸に合うようにしています。

ウエストゴムはオリジナルのジャガードゴムにしました。オープンゴムにすることで腰回りにピッタリとフィットします。
縫製は全てフラットシーマミシンと3本針ミシンで仕上げています。
肌に当たる部分が少なくなると同時に、生地のストレッチ性に追従するしなやかな縫製となります。
縫製糸には光沢糸を使用しています。
複雑な振りミシンで光沢糸を使用すると糸調子を合わせるのがとても難しく、
縫製の職人技がなくてはこのような綺麗なラインには仕上がらなかったでしょう。